レーザ位相差顕微鏡 FTM1 (Phase Contrast Laser Microscope FTM1 "FourierTunerMicroscope1")

従来、位相物体(無色透明な標本、生体細胞、細菌など)の観察を非染色で行う場合は、位相差顕微鏡が用いられていました。この位相差観察の場合、屈折率や厚みなどによる位相差を画像の濃淡画像化するわけですが、形状を表すものではなく、また位相差の大きすぎる試料や厚さの厚い試料は、位相差観察には不向きと言われています。

新開発のレーザ位相差顕微鏡は、従来のツェルニケ型位相差顕微鏡と異なり「細胞等位相物体の屈折率変化の濃淡画像化」だけでなく、コヒーレント平行レーザ光照明によって、「干渉による濃淡画像化」を実現いたしました。さらに「細胞等透明位相物体の振幅画像化におけるコントラスト最適化機能」を組み込むことにより、ハロ現象(Halo artifact)を生じさせずに細胞内構造等の形状・大きさに関するハイコントラスト像観察を可能としました。

また、80nm微粒子や口腔上皮細胞の核内の観察も確認しており、超解像顕微鏡としての可能性も有していると考えております。位相差顕微鏡の基本原理にもとづき従来の位相差顕微鏡の概念を変えてつくられた新しい顕微鏡で得られた画像を様々な分野の方々にぜひご覧いただき、評価いただければ幸いです。以下の図は、装置外観写真と装置の光学系原理説明図です。

<装置構成の概要>

装置外観写真と光学系原理説明図

<レーザ位相差顕微鏡 FTM1による画像例>

最初に、レーザ位相差顕微鏡 FTM1による画像例をご覧ください。高次回折光取込みと位相差干渉による画像のため、すこしノイジーで干渉縞を含む画像ですが、細胞核内の構造が確認できるなどの特徴をご覧ください。

口腔上皮細胞の画像
口腔上皮細胞の全視野画像
口腔上皮細胞の画像
口腔上皮細胞の全視野画像
口腔上皮細胞の画像
口腔上皮細胞の全視野画像
血球形状の変化の画像
透明位相物体(真球状ポリスチレンラテックス標準粒子の水分散体)の位相差顕微鏡画像の比較
0.5μmポリスチレンラテックス標準粒子のブラウン運動をとらえた画像
金ナノ粒子(80nm)の画像

以上、いくつかのレーザ位相差顕微鏡画像を見ていただきましたが、非圧縮・全画面のオリジナル画像サイズは、4000x2672センサ画像で10MB、30フレームの非圧縮動画では、300MBになってしまうため、本ページには掲載しておりません。お問い合わせページよりコンタクトいただくか、当社まで電話でお問い合わせいただければ幸いです。

<研究現場等での細胞観察等に関する主な問題>

(1) 生体細胞などの観察を行う場合、従来型の顕微鏡では視野が狭く被写界深度が浅いため、生体細胞の動きを追跡できなくなるというケースが発生し、視野の拡大が望まれています。

(2) 生体細胞などの無色透明な位相物体は、染色して組織の細部を観察する必要がありますが、この際、生体細胞が変質あるいは死滅してしまうため、染色せずに生体細胞を観察するためには、屈折率の違いを利用した位相差顕微鏡を使用します。しかしながら現在の位相差顕微鏡では、ハロ現象(後光のような干渉模様)が発生し、明確に細胞の形状を確認できません。

(3) 透過型電子顕微鏡は分解能が非常に高いのですが、厚さ0.1μm程度のものしか観察できず、内部が真空であり、液体を含むサンプルを観察できません。細胞を観察するときは、樹脂包埋等の方法で極薄の硬い切片を作成する必要があります。

(4) 共焦点レーザ顕微鏡は、共焦点光学系を使いレーザビームの2次元走査と、光軸方向の移動により3次元画像を得るものであり、一般的には1画面走査・処理の時間がかかります。また、生物領域における位相物体に対しては蛍光観察が一般的であり、蛍光標本を作成する必要があります。

<レーザ位相差顕微鏡 FTM1の特徴と技術>

(1) 平行レーザ光照明による、非侵襲・広視野かつ深い被写界深度の位相物体観察法

(2) 平行レーザ光照明による、ハロのない正確な透明物体形状・サイズ観察

(3) 透明生体細胞内の核や周縁からの屈折・散乱の高次回折光取込みによる鮮明作像技術

(4) 屈折・散乱光と零次光の干渉作像により、照射光波長を超える粒径測定の可能性あり(超解像)

(5) 粒子群サイズ・形状の実時間複数形状同時計測法を開発中

<レーザ位相差顕微鏡 FTM1と従来法との特徴比較>

レーザ位相差顕微鏡 FTM1と従来法との特徴比較表の画像

<レーザ位相差顕微鏡 FTM1 概略仕様>

レーザ位相差顕微鏡 FTM1 概略仕様の画像